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2026/10/22

【連載対談企画「BEAT TALK」#1】“衝動”を生み出すライブハウスが増える! その未来の先に、僕たち「ESP」がいる

関西全域に音楽を発信しつづけている、大阪のラジオ局「FM802」とのコラボ対談企画『BEAT TALK』。
記念すべき第1回は、エンタテインメント教育に特化した専門学校「ESPエンタテインメント大阪」で職員を務める上野 幹夫氏が登場し、DJ 田中 乃絵とともに、大阪のライブシーンの“今”と、未来のエンタメ人材を育てる教育者として、BEAT PARK OSAKAへの期待を語りました。

田中乃絵(以下、田中):上野さんは専門学校ESPエンタテインメント大阪の職員ということですが、どのようなことが学べる学校なのでしょうか?

上野幹夫(以下、上野):専門学校ESPエンタテインメント大阪(以下「ESP」)は大阪市北区の中津駅近くにある専門学校です。アーティスト、声優、スタッフの3学科があり、表舞台に立つアーティストを目指す学生から、音響や照明などの“裏方”スタッフを目指す学生まで、多くの方に通っていただいています。母体はギターやベースのブランド「ESP」なので、ミュージシャン志望の学生は楽器そのものに憧れて入学してくれることも多いですね。

田中:3つあるコースのなかで、上野さんは職員としてどのようなお仕事をされているのでしょうか?

上野:僕は音楽芸能スタッフ科の学科長を担当しています。音響・照明・楽器スタッフ、イベント制作、アーティストマネージャーなど、いわゆる“裏方”と呼ばれる職業を目指す学生の育成を行っています。

田中:FM802のスタッフにも「ESP」卒業生がいらっしゃいますが、学生たちは卒業後どのような進路に進まれるのでしょうか?

上野:「ESP」にはラジオ番組制作に特化した学科はありませんが、FM802の制作会社に就職した卒業生もいます。ライブハウススタッフならライブハウスへ、音響や照明スタッフなら大阪や東京の専門会社へ。音楽業界から派生するさまざまな仕事に、卒業生を受け入れていただいています。

田中:音楽イベントやフェスの現場で「ESP」の学生をよく見かけます。

上野:学生を連れて、大小さまざまなイベントに参加しています。最近だと、夏に開催された「OSAKA GIGANTIC MUSIC FESTIVAL 2026」で、僕が担当したステージに学生がスタッフとして参加しました。そのステージではFM802のDJハタノさんがMCを担当されていましたし、他のイベントでもDJの皆さんと現場で関わらせていただくことが多いですね。

田中:学生の皆さんは現場ではどのようなお仕事をされているのでしょうか?

上野:学生ができることは多くありませんが、音楽フェスではステージ転換や仕込みで音響スピーカーや照明を組む際にどうしても人手が必要になります。もちろんコンサート専門のアルバイトスタッフもいますが、業界全体で若い世代を育てていかないと裏方スタッフの年齢が上がり、人手不足につながります。若い世代に積極的に参加してほしいという理解をいただき、仕込みから本番までプロの方と一緒に仕事をさせていただいています。

田中:座学ではなかなか知ることができない“現場ならでは”の仕事ですよね。

上野:真夏の炎天下での現場に出て「夏フェスのような体力が必要な野外の仕事は自分には向いていない」と気づく学生もいます。それは悪いことではなく、就職先を考え直すきっかけにもなります。大小さまざまな現場を体験することで、学生たちは将来の道を決めていく。「学生を連れてきてもいいよ」と言ってくださる業界の皆さんには本当に感謝しています。

田中:授業や現場を通じて学生と関わるなかで、時代の変化を感じることはありますか?

上野:表現が正しいかはわかりませんが、すごく“頭が良くなった”と感じます。今の学生は、質問の前にある程度自分で調べてくるんです。15年前は「それくらい自分で調べなさい!」という簡単なことを聞いてくる学生も多かったですし、キーワードを見つけられず“調べる”ことを諦める学生もいました。でも今はAIで簡単に調べられるので、調べるハードルが下がっています。昔は2つ目、3つ目に来ていた質問が、今は1つ目の質問で来るようになりました。とはいえ、学生の根本はあまり変わっていないと思います。

“ライブハウス=バンド”ではない。ライブハウスは表現の場として広がっている!

田中:ライブの楽しみ方にも時代の変化を感じますか?

上野:よくライブに行く学生は一定数いますが、ライブに行ったことがないまま入学する学生も増えています。音源だけでなく映像作品が充実していることもあり、現場の空気を知らずに裏方を志望するケースもあります。そういった学生に現場の空気を感じてもらうのも学校の役目です。

田中:最初の1歩が踏み出せない人も多いですよね。

上野:友達や環境もありますし、チケット代を払うハードルもあります。それでも現場を体験した学生は「こんなにも感動的なんだ」と感じてくれますね。

田中:その場にいなければ味わえない“生”の体験がライブにはありますよね。特に、大阪はライブに行きやすい街ですよね。

上野:ライブを見た感動や感情はAIでも教えられませんよね。府内各地にライブハウスがありますし、商業施設でも音楽イベントが開催されています。街中で音楽を体験しやすい街だと思います。

田中:大阪の音楽シーンはどう捉えていますか?

上野:コロナ禍で音楽が完全にストップしましたが、ライブハウス同士が助け合い、どのライブハウスも潰さずに乗り切ろうという動きがありました。今は新しいライブハウスが次々にオープンしています。他府県から大阪に学びに来る学生も増え、ミュージシャンも大阪に集まってきていると感じます。

田中:コロナ禍以降、海外アーティストによる来日公演も増え、ライブ市場も動員数が過去最高を更新しています。チケットが取れないどころか、アーティスト側も会場が抑えられないという話もよく聞きます。

上野:利用者が増えるように工夫するライブハウスが増えていますね。

田中:“推し活”ブームも追い風のひとつになっていますよね。

上野:学生も職員も“推し活”をしていますし、グッズを身につける学生も増えました。音楽・アイドル・K-POP・男性ボーカルグループなど多岐にわたっています。「ESP」としても“推し活”をどう取り入れるかが課題ですね。

田中:ライブハウスの変化についてはどう感じていますか?

上野:昔は“ライブハウス=バンド”というイメージでしたが、今はアイドル、歌い手、男性ボーカルグループなど多様な表現者がステージに立っています。定期公演で1年先まで会場を押さえるケースもあります。ライブハウスは表現の場として広がっているように思います。

田中:照明や映像機器など、ライブハウスやホールの設備の変化は?

上野:映像を重視するアーティストが増え、LEDビジョンなど本格的な機材を導入するライブハウスが増えました。音響もデジタル補正が進化し、扱いやすい機材が増えています。人材を育成する立場としては人の手が減ることへの不安もありますが、機材の進化は良いことだと思います。


誰かの人生が変わるかもしれない、その瞬間が生まれる場所がまた誕生する。それが何より嬉しい

田中:そんな大阪に2028年、新しいライブハウス「BEAT PARK OSAKA」が誕生します。

上野:ネットニュースでも話題でしたね。

田中:1500~1600人ほどのキャパシティのライブハウス。話題のひとつが、新大阪駅から徒歩3分という立地の良さです。

上野:「そこにライブハウスがあるのが一番やんな!」と思いました(笑)。新大阪は新幹線の終電であれば東京や九州など各方面に帰れる立地。誰もがそんな立地にライブハウスがあったらいいなと望んでいたし、場所があるなら作りたいと思う人はこれまでもたくさんいたと思います。「BEAT PARK OSAKA」はロッテグループと野村不動産グループだからこそ実現したライブハウス。立地はもちろん、その内容にもワクワクします。

田中:私も東京や地方にライブに行くことはありますが、終電で帰れるというのは大きなポイントですよね。家族や仕事の都合ある人にとっては、日帰りでライブに行ける。もちろん、関西圏の人にとっても新大阪駅はアクセスが良い。

上野:ホテル代も高騰しているので若い人達にとっては凄く助かりますね。泊まりがけでも、翌日の行動がしやすい場所ですしね。

田中:アクセスだけでなく設備面にもこだわりが詰まっています。

上野:ニュースや紹介動画を見ると、最高の設備ばかりですが、僕が期待しているのは「衝動やきっかけが増える」ことです。良いライブを見た時に生まれる衝動――「明日頑張ろう」「自分も演奏したい」「音響・照明をやってみたい」。「BEAT PARK OSAKA」とアーティストが作ったステージが誰かの人生を変えるかもしれない。その瞬間が一年365日、365回生まれるかもしれない。そして、その衝動の先にしか僕たち「ESP」はないんです。「とりあえずESPに入学するか」という学生はいない。どこかで人生を変えられた子たちが「ESP」に入学してくるんです。誰かの人生が変わるかもしれない、その瞬間が生まれる場所がまた誕生する。それが何より嬉しいです。

田中:良いステージを見る機会が増えれば増えるほど、突き動かされる人が増える。最高の言葉ですね。

上野:「BEAT PARK OSAKAで見たライブがきっかけで入学しました」という新入生が出てくる未来が見えています!

田中:アーティストのライブが素晴らしいのはもちろん、ライブハウスで過ごした空間やロビーで友達と話をする時間。それらが未来につながっていくかと思うとワクワクしますね。

上野:卒業生が働くこともあるかもしれませんし、誰かの“衝動が生まれる”瞬間を学生がお手伝いすることもあるかもしれない。そういった循環が生まれることが僕たちのとってもすごく嬉しいですね。

田中:ロッテグループと野村不動産グループが手がけることについてはいかがですか?

上野:「なぜライブハウスを?」と逆に聞きたいくらいです(笑)。名のある企業がどうしてライブ業界に参入することになったのか。「BEAT PARK OSAKA」にも学生を連れて取材に行ってみたいですね。

田中:ロッテグループは韓国とも繋がりがあるので、K-POPアーティストのライブ公演も増えそうで、今後も話題が尽きないですね。

上野:「ESP」の最寄りは中津駅で、新大阪駅からも数駅。勝手に“お隣さん”だと思っています(笑)。一緒にできることがあれば嬉しいですね。

田中:音響や照明設備だけでなく、ホワイエでロッテが手がける食事も楽しめるそうです。

上野:最高のライブハウスですね♪ 新大阪は大都会なので周辺にも色々とお店がありますが、ライブハウスから出ずに完結できるのは魅力的ですね。

田中:開演や終演時間はちょうどお腹が空く時間。終演後にご飯を食べて帰りたいけど、学生が遅くまで遊ぶことは保護者も心配になる。「BEAT PARK OSAKA」で食事も楽しめるのはいいですよね。

上野:公演以外の部分までカバーしてくれるのはありがたいです。早く完成してほしくて仕方がないです。

田中:「ESP」として「BEAT PARK OSAKA」でやってみたいことはありますか?

上野:学生が公演のお手伝いに行くのはもちろん、卒業公演など学生の発表の場所として使えると嬉しいです。

田中:地域の方にも愛されるライブハウスになるといいですよね。

上野:完成したら一日でも早く見学させてください!

撮影 渡邊一生
ライター 黒田奈保子

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